●コンサル資格制度の現状
1993年の第1回の資格認定試験から27年が経ち、今では毎年1,500~1,700人が受験申込する資格に成長しました。現在、約1万6,000人の公認 不動産コンサルティングマスター(以下、マスター)が当センターに登録し、土地建物の有効活用、相続対策、底地権利調整、不動産投資などの多岐にわたる分野を業務範囲として活躍されており、その誰もが高い専門知識を有しています。
●制度のさらなる普及に向けて
社会や業界における不動産コンサルティングの認知度を高めるため、成功事例を発信しています。
2017年からは、不定期で開催していた「事例発表会」を年1回の定期開催に切り替え、2019年は75人の有資格者が聴講しました。今後は消費者向けの情報発信にも力を入れていきたいと考えています。
●今後の方向性
より高度なスキルと、信頼に足る人間性を兼ね備えたマスターの育成を目指します。技術革新が進み、AIによるデータ分析が普及すれば、定性的なシミュレーションは容易になります。しかし、機械が出した回答が、必ずしもユーザーが納得できるものとは限りません。ユーザーに寄り添い、その思いをくみ取り、心から納得できる回答を導き出すのが、マスターの仕事です。資格試験の難易度を上げることも検討し、スキル向上を図ると同時に、職業倫理やコンプライアンス教育にも力を入れてまいります。
●コロナ禍で新たな課題は
以前は、センターが実施する研修後の交流会など、マスター同士や講師とのコミュニケーションの場がたくさんあり、そうした交流がマスターの知識向上に寄与していました。しかし、コロナ感染拡大によって対面が制限されたため、交流の機会が少なくなりました。今後はオンラインでの交流など、コロナ禍が長引いた場合の交流の在り方を推進していきたいと考えています。
●マスターに期待することは
19年に国土交通省が発表した「不動産業ビジョン2030」のメインテーマである「不動産最適活用」を実現するには、マスターが重要なプレーヤーとなります。社会課題の解決に向け、継続学習による知識更新をしていただき、高い倫理観をもって、ユーザーのためになる仕事をしていただくことを期待しております。
不動産流通研究所『月刊不動産流通』2021年1月号「特集 不動産コンサルビジネス最新事情」掲載
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